居宅介護支援開業についてのセルフインタビュー

居宅介護支援事業所の主任介護支援専門員、認知症の人と家族の会世話人
係長ケアマネ

向上心は低めながら仕事が大好きなケアマネジャーで、座右の銘は“人生を楽しむ”です。

お久しぶりです。係長ケアマネです。
前回のコラムからおそよ4カ月が経ちました。

その間に、私のケアマネジャー人生に劇的な変化をもたらした居宅介護支援事業所の独立開業について今回は書きたいと思います。

居宅ケアマネをしているケアマネジャーなら独立開業について興味がある人は多いのではないかと思います。
今回、独立を考えている人にも、そうでない人にも読みやすさを重視して、異例の架空インタビュー形式で書いてみたいと思います。

Q1「独立を決めたきっかけは?」

A 独立して実現したかったことは主に3つです。

「無駄な業務をなくしてケアマネジメントに注力したい。」
「週休3日制を実現したい」
「リモートワークを導入したい」

“無駄な業務”と書くと前職に失礼ですが、自分にとっては出勤、申し送り、朝礼、日報、ルーティンとしての会議など、どれも自分にとってはあまり有意義なものとは思えませんでした。
独立に際してそれらはすべて廃止しました。

“週休3日制”を導入した理由は4つあります。
1、 人生を楽しむため。
2、 居宅介護支援の報酬には限界があるため、副業や他事業展開が可能な余白をもうける。
3、 収入が増やせないなら、休日を増やして実質賃金を上げる。
4、 休日の多い労働条件にすることで、近い将来訪れるケアマネジャー争奪戦に先んじてアドバンテージをとる。

“リモートワーク”は、コロナを機に導入している事業所も増えたと思いますが、前職では原則不可でしたので、自分のしたいように仕事をするために実践しています。

Q2「独立に際して一番大変だったことは?」

A 指定申請です。
プロに依頼するお金も無かったので、手探りで自分で申請しましたが、元来事務手続きが大嫌いで苦手なので、トライ&エラーで何点修正依頼が来たかもう思い出せません。
役場には3回か、もっと行った気がします・・・。
幸い指定課の担当者が優しくて良い人で、低姿勢で謙虚で、こちらの不備なのにどこか心苦しそうに修正依頼の連絡をくれていました。
指定通知書を受け取りにいった際に、「多数の不備があり、度々の修正で大変お手数をおかけしました。ありがとうございました。」と伝えると、「そんなことないですよ、まだ少ない方ですよ。(苦笑)」と嘘か真かもわからないドンマイ励ましの御言葉をいただき、救われた気がしました。

Q3「資金計画は?」

A 計画らしい計画は特にしていません。
自己資金40万円程度? と政策金融公庫の創業融資で180万円ほど借りました。
政策金融公庫の担当者にも恵まれ、とても親身になってくれて申請から20日前後で融資が実行されたと思います。
銀行や信用金庫より政策金融公庫の方がハードルが高いのかと思い、はじめは地方銀行に相談にいきましたが、実際は真逆で、銀行、信用金庫の方が「なぜそんなに自己資金が少ないのですか? 創業に向けてある程度貯金するものではないですか?」とぐうの音も出ない手痛いツッコミもあり、貸し渋り感が強かったです。

Q4「独立して良かったことは?」

A 自由を獲得したことです。

Q5「独立後に大変なことは?」

A 雇われているときにはなかった会計、経理、労務など、経営管理業務が思ったより大変で、十分に処理できていないです。

Q6「独立後、収入は増える?減る?」

A 前職とほぼ同額の年収で給与設定をしましたので、このまま資金ショートすることなく収支が合えば“変わらない”と言えるのだと思います。あとは天命に安んじて人事を尽くすのみです。初期投資を除けば、初月の実績は収支トントンか微赤程度ではなかろうかと思っていますが、真相はマネーフォワードの中です。

Q7「独立に不安はなかった?」

A まったくありませんでした。生粋の楽天家で“なんとかなる”“なるようにしかならない”そんな精神で生きています。

Q8「利用者の獲得は大変?」

A 幸い現状では大変さは感じていません。
前職を退職する際に後任ケアマネジャーの応募がなく、事業所内で引き継げる余裕のあるケアマネもおらず、利用者の希望もあり担当中の利用者は全員居宅変更という形で担当継続で開業しました。
元々の利用者がいるので営業らしき活動は、開業の挨拶メールのみでしたが、開業から約3か月弱の現在までで、18名の新規相談がありました。
幸か不幸か“超高齢化”と“ケアマネ不足”は、居宅介護支援事業にとっては、強い追い風になっていると思います。

Q9「人に独立を勧めたい?」

A 人によりますが、居宅介護支援のみで収入UPを目指したい人にはお勧めしないです。
ケアマネ求人の給与相場は既に上向きですし、今後ケアマネの人材不足は深刻化しますので、争奪戦となり給与相場は今よりも更に上がると思います。
逆にお金をかけて、借金をして、ケアマネ業務以外の仕事が増えてでも自由を得たい人にはお勧めしたいです。
人生は一度きり、やってみたいことは何でもやってみる精神の私個人は、大満足の現状ではあります。

以上、架空のインタビューでした。
少しでも皆さんの参考になれば幸いです。