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介護保険法令を理解し、使いこなそう!

第4回 介護保険制度の法令リスクが高くなりやすい理由③

一般社団法人あたご研究所 代表理事
後藤 佳苗

保有資格、役職など
一般社団法人あたご研究所代表理事、特定非営利活動法人千葉県介護支援専門員協議会理事、看護学修士(地域看護学)、保健師、介護支援専門員、千葉県介護支援専門員指導者など
【略歴と現在の活動】千葉県職員(行政保健師)として、保健所、精神科救急病院、千葉県庁母子保健主管課、千葉県庁介護保険担当課等に勤務し、2005年4月~現職
ケアマネジャー、介護福祉職、行政等職員、コメディカルなどに対し、年200回以上のセミナーを全国で担当する

法令を理解し使いこなすことは、自分と仲間と事業所を守る第一歩です

「介護保険制度は、法令リスクが高い」とよく言われます。
法令リスクが高くなりやすい主な理由として、

①介護保険法の特徴と3年に一度の定期的な法改正があること
②運営基準(省令)が、事業者や施設で異なること
③運営基準(省令)の条例委任
④ローカルルールを作りやすい条例体系

が主な理由として挙げられています。

本号では、介護保険制度の法令リスクが高くなりやすい理由のうち、
③運営基準の条例委任 について、確認を進めます。

前号で確認したとおり、介護保険の事業所や施設は、その種別等によって運営基準が異なります。
このため、勤務するサービス種別が変更となる場合(例:内部異動など)には、種別ごとに異なる知識を獲得するなどの対応が必要です。

そうはいっても、2000年の介護保険制度スタートの時点では、厚生労働省令が定め、
同じサービス種別の場合は、全国一律のルール(運営基準)でしたから、現時点に比べると大きな混乱はなかった印象です。

現時点のようになった(全国一律の基準でなくなった)のは、2011年の「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」等により、サービス事業所や施設に関する基準については、都道府県または市町村が制定する条例に委任されたからです。
そして、その後、居宅介護支援の指定監督権限に関しても、2018年4月~全国の市町村に移譲されたことは、ご存じのとおりです。

つまり、2012年度以降は、条例を制定する市町村や都道府県によって差が出る(違いが発生する)制度に転換されているのです。

ただし、法令と条例の齟齬が生じないよう、条例に委任される基準の項目ごとに、

厚生労働省令に定める基準に従い定めるもの
(:異なる内容を条例で定めてはならない基準。以下、「従うべき基準」)、
厚生労働省令で定める基準を標準として定めるもの
(:合理的な理由があれば、その範囲内で異なる内容を条例で定めることも認められる基準。以下、「標準とする基準」)
厚生労働省令で定める基準を参酌するもの
(:異なる内容を条例で定めることも可能とされる基準。以下、「参酌すべき基準」)

 の3つに分類されています(表参照)。

表 条例制定に関する事項(法令と条例の関係)
出典:後藤佳苗.新訂 法的根拠に基づくケアマネ実務ハンドブック.東京:中央法規;2021.p14を改変

このため、条例を制定する都道府県等は、すべてを独自の基準で運用等はできませんが、
それぞれの地域の実情に応じた条例が制定・運用がされています。

第4回はこれにて終了です。ご愛読いただき、ありがとうございました。

連続して確認をしてきた「介護保険制度の法令リスクが高くなりやすい理由」も、次回(第5回)が最終回です。
もう少しお付き合いください。

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