ケアマネジャーがケアマネジャーたりうる為に、私たちの言葉や想いを紡ぎます。

介護保険法令を理解し、使いこなそう!

第1回 法令遵守(コンプライアンス)に精通する意味と価値

一般社団法人あたご研究所 代表理事
後藤 佳苗

保有資格、役職など
一般社団法人あたご研究所代表理事、特定非営利活動法人千葉県介護支援専門員協議会理事、看護学修士(地域看護学)、保健師、介護支援専門員、千葉県介護支援専門員指導者など
【略歴と現在の活動】千葉県職員(行政保健師)として、保健所、精神科救急病院、千葉県庁母子保健主管課、千葉県庁介護保険担当課等に勤務し、2005年4月~現職
ケアマネジャー、介護福祉職、行政等職員、コメディカルなどに対し、年200回以上のセミナーを全国で担当する

法令を理解し使いこなすことは、自分と仲間と事業所を守る第一歩です

千葉県船橋市で、あたご研究所を経営している後藤 佳苗と申します。よろしくお願いいたします。
ケアマネジャーを紡ぐ会さんとのご縁をつなげたきっかけは、宮﨑会長からのお声掛けでした。その後、2017年から紡ぐ会さん主催研修の講師に継続的に招いていただくなど、細く長いお付き合いをいただいています。

本コラムについても、「ケアマネジャーに伝えたいこと、知っておいてほしいことを中心に、何を書いても構いません」と、太っ腹な紡ぐ会さんのご厚意で、本号から毎月連載を担当させていただけることになりました。好きなことを書いていいと言われているので、介護保険法令についての理解を深め、使いこなす技術を身につけることを中心にまとめていきたいと思っています。

第1回目である今回は、「法令遵守(コンプライアンス)に精通する意味と価値」について、再確認を進めます。

1.ケアマネジャーと法令遵守(コンプライアンス)

「法令遵守(ほうれいじゅんしゅ)(コンプライアンス)」という言葉を耳にしない日はないといっても過言ではないでしょう。そして、「法令を遵守しない場合、介護支援専門員登録の消除や事業所の指定取消しとなる場合もある」ということは、ご存じだと思います。
しかし、コンプライアンス(法令遵守)に関しては、『自信が無い』『ちょっと苦手……』と、尻込みをされるケアマネジャーに出会うこともあります。

社会保障制度である介護保険制度においては、法令や通知等で守るべきルールが定められています。
また、本人の生活機能や価値観を把握し、望む暮らしを達成する(本人の権利を擁護する)ためには、複数の小さな局面に分かれたケアマネジメントの過程を円環(循環)させることが必要です。
もちろん、このケアマネジメントの過程を円環させるルールも介護保険法令で細かく規定されています。つまり、ケアマネジャーがケアマネジメントにおける法的な規定を理解せず有効に使いこなせない場合、介護支援に支障等が生じる可能性や介護事故等が発生する危険性もあるのです。
つまり、ケアマネジャーにとって、コンプライアンスに関する内容については、避けては通れないという意味を持ち、そして、ケアマネジャーが、コンプライアンスに精通することは、ケアマネジメント業務の効率化につながります。

横道にそれますが、「効率化」と聞くと、“楽をするため”というイメージを持っている人もいますが、このイメージも誤ったものです。
ケアマネジャーにとっての効率化とは、本来のケアマネジメント業務(利用者支援と地域づくり)を充実させるための時間を捻出することです。
ケアマネジャーは、効率化により浮いた時間を本来業務に充てることにより、個別性の高い介護支援の提供が可能となっていくという価値(利点)があることについても再確認してください。

2.法律・法令・条例の違い

突然ですが皆さんは、法律と法令の違いをしっかりとご理解されていますか? 自分自身でわかっている方でも、他者に説明することは難しいと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
法律とは、そのまま“法律(国会が議決するもの)”を指し、法令とは、“法律”+“政令(内閣が制定するもの)”+“省令(担当省の大臣が制定するもの)”を包含した概念です。これを介護保険法令にあてはめてみると、次の表のとおりです。

法律(国会が議決するもの)
 :介護保険法 等 
政令(内閣が制定するもの)
 :介護保険法施行令 等 
省令(担当省の大臣が制定するもの)
 :介護保険法施行規則、運営基準 等
表 法律、政令、省令

また、一般的に法令等の構造はピラミッドのような形をしているといわれています(図参照)。
具体的には、より上に行くほど数は少ないのですが法的な拘束力が強く、下にいくほど数は多く法的な拘束力が弱くなっています。
実務や実践においては、相反するような内容が示されていることを確認した場合には、より上位に位置づけられている内容を優先して選択する必要がありますので、通知やQ&Aだけを読み、理解したつもりになることのないように注意しましょう。

図 介護保険法令ピラミッド
出典:
後藤佳苗.新訂 法的根拠に基づくケアマネ実務ハンドブック.
東京:中央法規;2021. p12を一部改変

第1回はこれにて終了です。ご愛読いただき、ありがとうございました。
次回(連載第2回)は、介護保険制度の法令リスクが高いと言われる理由等について、確認を進めます。

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