介護現場から声を上げる大切さ~現場から論を組む~

こんにちは。政治と介護を紡ぐ会 会長で、神奈川県議会議員の添田勝です。
今月は、介護現場の問題意識から論陣を張る!
つまりタイトルにあるように、「現場から論を組む」ことの大切さについてです。

逆介護保険

私は逆介護保険という政策を全国へ広げ、介護保険法制を目指しています。これは、まさに「現場から論を組む」発想から生まれた制度です。「逆介護保険」とは、今の介護保険制度とは報酬の増え方を逆にしたものです。

今の介護保険制度は「事業者は高齢者の要介護度を悪化させると報酬が高くなる仕組み」。つまり、一生懸命自立支援のケアをし、要介護度が改善すると、報酬が減ってしまうという、現場の皆さんが感じている矛盾を制度で変えようというものです。
逆介護保険は、それを逆にして「介護事業者が高齢者の要介護度を改善させると報酬が高くなる仕組み」です。
川崎では、私が提唱するこの「逆介護保険」を導入した結果、そこに参加された方の要介護度改善率が全国平均の約2倍という成果を出しました(下記参照)。

この図表にあるように、第1期~4期の実績になりますが、同じ時期に全国平均で要介護度が改善した人は、第1期が9.9%、2期が8.8%、3期が8.7%、4期8.6%という結果でした。
それが川崎市の逆介護保険参加者の場合、1期が17.8%、2期が15.0%、3期が17.1%、第4期20.1%となっており、要介護度改善者は、全国平均の倍以上の結果を残しました。

1人当たり5万円の介護給付費削減と、
全国拡大で500億円以上の財源ねん出可能性

川崎市で成果を上げた逆介護保険では、この政策に参加した高齢者の1人当たりの介護給付費が約5万円削減することにも繋がりました。

要介護度が改善し状態改善者が増え、そして、それに努力した事業者が評価され、そして財政にも良い影響を与えることになった、まさに一石三鳥となりました。

さらに、これが全国に拡大した場合は、社会保障財政の専門家から、少なくとも500億円以上の財源をねん出できる可能性があると分析されました。

500億円という額はどのくらいのインパクトなのでしょうか。
令和4年度の医療福祉系予算では、ほぼ同じくらいの予算規模としては、障がい児・者への移動支援や意思疎通支援等、地域生活を支援するために組まれた予算が約520億円でほぼ同額。
一方、看護処遇改善や不妊治療への保険適用等のための予算は、約300億円。介護事業所のICT化による職員負担軽減や認知症施策推進等の予算が約330億円です。

よって、介護事業者への新設予算を含め、逆介護保険を全国に広げるだけで、借金をせずに財源手当てができる可能性が出てきたのです。

これはまさに、現場で感じた介護保険制度の素朴な疑問から、逆介護保険という政策へと進化したものです。

このように、「現場から論を組む」ということは、本当に大切なことです。これはあくまでも一例にすぎませんが、皆さんもぜひとも、現場から声を上げてください。私たちはそれをしっかり受け止めていく覚悟です!!