東かがわ市議会議員
東かがわ市議会副議長
居宅介護支援事業所このみ 管理者
政治と介護を紡ぐ会 事務局長
山口だいすけ

誰かが何かしてくれるという幻想
介護の現場に長くいると、いろんな不満の声を耳にします。「どうしてこんな制度なんだろう」「現場のこと、ほんまに分かっているのか」。
最初は僕も、それをただ聞いているだけでした。「誰かが変えてくれたらいいのに」と思いながら、どこか他人事だったんです。
でもあるとき、ふと「じゃあその“誰か”って、誰なんやろ」と思ったんですね。それで、福祉を語る政治家に会いに行きました。でも、結局変わらなかった。思いはあっても、業界の中身を理解していないから、大事なポイントが伝わらなかったんです。
その瞬間から、少しずつ自分の中の視点が変わっていきました。「誰かに任せても何も変わらない。だったら自分がやるしかないんじゃないか」って。
ケアマネだからこそ見えたもの
ある日、在宅生活がもう限界を迎えていた利用者さんの支援が必要になって、急ぎで施設の受け入れを探しました。でもどこに電話しても「空きがありません」と言われてしまう。時間ばかりが過ぎていく中で、昔の職場仲間や連携してきた事業所に連絡をとり続けて、やっと受け入れ先を確保できました。
制度だけでは支えきれない現場の“すき間”を、人と人のつながりでなんとかしている。そんな毎日の中で、「この実態を議会の中にも届けないと」と思うようになったんです。
実際、現場にいると制度の“理想”と“現場”のズレがよく見える。書類の上では理屈が通っていても、現場では動かないことなんて山ほどあります。だからこそ、現場の経験をそのまま議会に持ち込める人が必要だと痛感しています。
ケアマネと議員、どちらも“現場”です
今もケアマネの仕事は続けています。正直、体はきついです。でも、「これが自分の役割だ」と思える。現場から離れた自分が語る言葉は、もう本物の思いではなくなると思うからです。
「どっちかにしたら楽なのに」と言われることもあるけれど、僕にとっては、どちらも大切です。どちらも、社会の一番近くにある“現場”だから。
もちろん、両立には覚悟も工夫も必要です。スケジュール管理はシビアになりますし、疲れが取れないまま仕事に向かうこともあります。でも、ケアマネとしての視点があるからこそ気づける課題があるし、議会で議論できるテーマが生まれます。その逆もまた然りです。
そして何より、自分が現場に立ち続けることで、政治の言葉が空回りせず、現実とつながり続けられる実感があります。きれいごとで終わらない政治、ちゃんと地に足がついた提案。そういうものを届けたいと、いつも思っています。
議員になっても、できることとできないことがある
議員になれば、全部がすぐ変えられると思われがちです。でも、そんなに単純じゃありません。「近くに病院がない」「交通が不便」…そういった声はたくさん届きます。でも、病院を誘致するにも、医師を確保するにも、時間も人もお金もかかる。
だからといって無力だとは思いません。市民の声を議題にのせることはできる。前に進めるきっかけをつくることはできる。それが、議員としての一歩だと思っています。
「できない」とあきらめるのではなく、「時間がかかっても取り組む」。そんな姿勢を続けることが信頼につながると信じています。小さくても、確かな変化を積み重ねること。それが地域を変える力になるはずです。
動くのは政治家ではなくあなた
あるとき、SNSで一人のケアマネさんから「制度がおかしい」と相談されました。地元ではない地域の話。でも、内容を調べ、縁をつなぎ、話し合いを重ねる中で、制度は本当に変わったんです。
それが、東京都の主任介護支援専門員の研修受講要件の見直しです。
あとでその方から「まさか自分の声が届くなんて」と言われました。僕も本当に嬉しかった。これは偶然ではなく、その人が勇気を持って動いた結果なんです。
僕は、そういう“動こうとする人”を支えるのが、政治の役割だと思っています。声をあげる人がいれば、その声を受けとめ、形にしていく。だからこそ、現場にいるあなたに、政治の世界に関わってきてほしいと思うんです。
政治は誰か特別な人の専売特許ではなく、「今ここで困っている」誰かの延長線上にあるべきものです。そういう政治を、僕はこれからも続けていきたいし、声を上げていく仲間として加わってくれる人が一人でも増えることを願っています。
“誰かが”ではなく、“あなたが”やる時代に
どんなに立派な政治家でも、すべての思いに応えきることはできません。僕も同じです。
ケアマネの一面は分かっていても、すべてが分かるわけではない。自分が経験していない現場では、課題を見落とすこともあります。
悔しいですが、僕の手の届く範囲はそんなに広くありません。
だからこそ、仕事や暮らしの中で「なんでこうなってるの?」って疑問を感じたあなたに、ぜひ議会に立ってほしいと思います。
それぞれが持つ強みを灯りにして照らし合っていけば、いつか日本中を照らす光になる。僕たちが掲げている「一燈照隅万燈照国」という言葉には、そんな願いが込められています。
誰かがやってくれるのを待つ時代は、もう終わりました。
政治は、現場から動かすものです。
次は、あなたの番です。
一緒に、日本中を照らす灯りになってください。