ケアマネジャーを紡ぐ会 富山支部長
株式会社エンジョイライフサポーター 代表取締役
援JOYケアサポーター 管理者
畑野 充則
二度手間が嫌いで、そのためにいろんなツールに手を出して、逆に時間がかかったりしています。
DXは、デジタルが得意な人のためのものではなく、覚えられない・続かないというアナログな人間のためにこそある。
二度手間が嫌いなだけでした
富山で居宅介護支援事業所の管理者をしている畑野充則と申します。DXという言葉から入ると身構えられてしまいそうなので、先に白状しておきます。私は、立派な考えがあってデジタル化を進めてきたわけではありません。ただ、二度手間が嫌いなだけです。
そのせいで、いろいろなツールに手を出しては、逆に時間がかかってしまうこともよくあります。うまくいったものだけを並べた話ではない、ということを最初にお伝えしておきます。今日は、それでも手元に残ったものを、導入した順にご紹介します。
紙の手帳を、十年前にやめた
紙の手帳は、十年ほど前からほとんど書いていません。書けなかったのではなく、書いても見返さなかったからです。せっかく書き込んでも、開かないページが増えていくだけでした。
そこで、予定はスマートフォンのアプリに任せることにしました。今使っているのはGoogleカレンダーです。決め手はリマインド(通知)でした。こちらが思い出さなくても、時間になれば向こうから知らせてくれる。これで私の物忘れは、劇的に改善しました。
覚える力を鍛えたわけではありません。覚えるという作業を手放しただけです。なお当事業所では、開業して早々に、当時のG Suite(現在のGoogle Workspace)を導入しています。
事業所に戻ってから、書かない
記録は、介護ソフトのカイポケを使っています。契約するとiPadを一台無料で貸してもらえました(条件は時期や契約内容によって変わるようです)。
これが大きかったのは、仕事の場所を選ばなくなったことです。さらにスマートフォンからも記録を入力できるので、音声入力を使えば、キーボードを打つ必要すらありません。正直に言えば、自分が湯船に浸かっている間に記録を口述したこともあります。それくらい、場所を選ばないということです。
これも結局は、二度手間をなくしたかっただけの話です。その場では紙に書いて、事業所に戻ってから打ち直す。この往復をやめたかったのです。
FAXを、紙で待たない
届いたFAXは、メールに転送されるようにしました。
それまでは事業所に戻って紙を見るまで内容がわかりませんでしたが、今は外出先でもその場で読めます。おかげで、返信がかなり早くなりました。設定したのは一度きりで、あとは何もしていません。
一人から四人になったとき、AIを入れた
一昨年、一人ケアマネだった当事業所が四人になりました。人が増えれば、書類も増えます。そこで積極的に使うようになったのがAIです。
今使っているのは、Googleの生成AIであるGeminiの「Gem(ジェム)」という機能です。あらかじめ役割や指示を覚えさせておける、自分専用のAIだとお考えください。当事業所では、支援経過の要約と、ケアプラン作成の下書き支援に使っています。
ただし、AIがつくるのは下書きまでです。最終的に判断し、責任を持つのは私たちケアマネジャーです。また、利用者さんの個人情報の扱いには慎重さが求められます。事業所として使うサービスとルールを決めたうえで導入してください。
欲しい道具がなければ、つくる
最近は、道具そのものをつくるようになりました。認定調査用のアプリ、アセスメントシート、iPadで手書きできる契約書。ホームページの改修や、職員が見る事業所内のポータルサイトもです。いずれもClaude(クロード)という生成AIを使って、自分たちで作りました。
少し前なら業者に依頼するしかなかったものが、「こういうものが欲しい」と日本語で伝えるところから形になります。プログラミングの知識は要りません。
アナログな私たちのためのDX
こうして並べてみると、私がやってきたことは、新しいものへの挑戦ではありませんでした。見返さない手帳をやめ、打ち直しをやめ、紙を待つのをやめた。それだけです。
冒頭に書いたとおり、手を出して失敗したツールもたくさんあります。それでも構わないと思っています。合わなければやめればいいだけで、ひとつ残れば、その分だけ二度手間が減るからです。
DXは、デジタルが得意な人のためのものではありません。むしろ、覚えられない、続かない、面倒くさい。そういうアナログな私たちのためにあるのだと思います。まずは次の予定に、リマインドをひとつ設定するところから始めてみてください。




