ケアマネジャーだからできる両立支援が未来を切り開く

株式会社介護屋山﨑 代表取締役
ケアマネジャーを紡ぐ会 奈良支部長

山﨑 理央

起業して1年の新米社長

ケアを受ける人もケアをする人も幸せにならないと意味がない

「仕事もあるし、介護もある。自分がもう一人いたらいいのに……」。
そんな声を、私は何度となく耳にしてきました。

私はケアマネジャーとして、日々多くのご家族と関わっています。
特に働きながら親の介護をする、いわゆる「ワーキングケアラー」と呼ばれる方々の姿には、胸を打たれるものがあります。
彼ら・彼女らは、職場では責任を持って仕事に取り組み、家庭では大切な家族のために全力を尽くす。けれど、その頑張りが周囲から見えづらく、孤立し、疲弊していくことも少なくありません。

私はそんな「両立する人たち」を応援したい。
そして「あなたの事も大切だよ。」と伝えたいのです。

介護が始まるタイミングは、人によってさまざまです。
親が転倒して入院したことをきっかけに突然始まることもあれば、認知症の進行により、少しずつ介護が必要になっていくケースもあります。
多くの場合、仕事との両立が求められます。
「今週は通院の付き添いが2件」「熱が出て急にデイサービスの利用ができなくなった」――こうした出来事が、通常の業務に加えて日常的に起こるのです。

24時間365日、介護のことが気になる。夜は親の様子を見に実家に立ち寄り、休日は買い出しや病院への付き添い……。自分の時間はどこにあるのか分からなくなるほど、ぎりぎりの生活を送っている人も多いです。

それでも、多くの人は「自分がやらなきゃ」と背負い込んでしまいます。
真面目で責任感が強いからこそ、自分を後回しにしてしまうのです。

仕事と介護を両立する人の多くは、「職場には言いづらい」「家族にも迷惑をかけたくない」「ケアマネに話すのも申し訳ない」と抱え込んでしまいます。
けれど、私たちケアマネジャーは、そんな「誰にも言えない気持ち」を受け止める存在でありたいと思っています。

「実は、もう限界で……」と絞り出すように話してくださった方が、支援の中で少しずつ笑顔を取り戻していく姿を見るたびに、「人は、一人では介護できない。だからこそ、つながりが必要なんだ」と感じます。


「あなたは一人じゃない」。
この言葉は、単なる慰めではありません。
ケアマネジャーとしての私の実感であり、願いでもあります。

介護は、時に過酷で残酷な一面があります。
けれど、親子や家族関係の絆を強くしたり、再構築できるきっかけにもなります。

介護を受ける人だけでなく、介護をするあなた自身も大切にできる社会にしたいし、制度や職場、地域がもっと両立を支えられるようになってほしいと願っています。

そして私は、現場にいるケアマネジャーとして、目の前の一人ひとりと丁寧に向き合いながら、その応援を続けていきたいと思っています。

仕事と介護の両立に悩むあなたへ。
どうか、抱え込まないでください。
そして、自分の気持ちにも耳を傾けてください。
誰かに話すことから、きっと道はひらけていきます。

けれど、その頑張りが周囲から見えづらく、孤立し、疲弊していくことも少なくありません。だからこそ、身近な介護のプロであるケアマネジャーに相談してほしいのです。

こうした支援のなかで、ケアマネジャーの活躍の場も、今まさに広がりを見せています。
従来は被保険者に当たる介護を受ける本人のケアプランを作ることが主な役割とされてきましたが、今では「家族支援」や「両立支援」といった視点が重視されるようになり、企業や地域と連携する「産業ケアマネ」のような新しい活動も始まっています。

例えば、ビジネスパーソンの介護相談を受けたり、介護に直面する社員が仕事を辞めずに済むようサポートしたりと、ケアマネジャーの本来の専門性が社会の中で活かされる場面が増えています。
それは、介護の知識をもった“専門家”が必要とされている証でもあります。

「仕事と介護の両立支援」は、これからの社会にとって不可欠なテーマです。
その中でケアマネジャーや産業ケアマネが果たす役割は、今後ますます大きくなるでしょう。

お読みいただいた皆様へ、

最後に名言をお伝えして終わりたいと思います。

【介護の問題は介護保険の中だけで起こっているのではない。介護保険の外でも起こっているのだ。】
〜ケアマネジャーを紡会 奈良支部長 山﨑理央〜

ケアマネジャーの皆様、

介護保険制度の外に飛び出して

仕事と介護の両立が当たり前の選択肢になる社会を目指して活動しましょう。