福祉・医療制度改革ズームイン(14) 既視感しかない「保険外」サービス拡大の議論

ニッセイ基礎研究所上席研究員三原岳

最近、介護保険の「保険外サービス」を拡大する議論が政府内で浮上しています。ここで言う介護の「保険外」とは、一般的に「介護保険以外で、自治体や企業などが要介護高齢者に提供する商品やサービス」と理解されており、財務省は高齢者の生活支援の文脈で、経済産業省は仕事と介護の両立支援に絡めて、その必要性を論じています。
ただ、似たようなテーマは以前から論じられており、シンクタンクの受託調査で様々な報告書も公表されています。さらに、7~8年前には「混合介護の弾力化」が脚光を浴びたものの、竜頭蛇尾に終わった経緯があります。
それにもかかわらず。最近の動向は過去の経緯を踏まえているとは考えにくく、天邪鬼の筆者には「どこかで見聞きした話ばっかりだな」と感じています。むしろ、保険外サービスを組み込んでも、居宅介護支援費を受け取れないケアマネジャー(介護支援専門員)の報酬体系を見直すことが必要と考えています。今回は保険外サービスを巡る政策的な動向を振り返ることで、その既視感を批判的に考察した上で、ケアマネジャー向け報酬の見直しが「本丸」である点を強調します。

最近の政府...

続きはプレミアムで
この記事は限定です。登録すると続きをお読み頂けます。